東京校の講義レポート

平成26年(2014)【1月18日(土)】 人生のイニシエーション-矛盾-/濱口晴彦先生(早稲田大学名誉教授)

2014/01/18
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●1日の流れ
09:00 朝礼、掃除
09:35 新聞アウトプット
13面 SNS「終活」のススメ
 SNSに限らず、終活でどんなビジネスチャンスがあるか議論した。
9面 ユニクロ「世界共通」転換
 ユニクロが欧州で赤字とからもがいているという議論をしていた。
 欧州からすると、日本の服などイメージの面で売れない。
 例えば私たちが中国製や韓国製の食品に対して抱くイメージのようなものとのこと。
 赤字ではあるが、それは投資であり、ユニクロはとても大きな挑戦をしている。
11:15 昼休憩
12:00 芋販売
13:30 濱口先生による講義
・矛盾ということについて
・矛盾を解決することをアウフヘーベン
・近代以前、社会というものはなく、公と私のみという構造
・昔「働く」ことは「使命」だった。
・今は何か行動することは、必要不可欠な行動である「work」と、そうではない「labor」の二種類がある。
・「使命」だった「働く」ことが「labor」になってきた。
・「社会」とは人々がテーブルを挟んで向かい合っている状態のこと
15:15 掃除、終礼
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●まだ掴めていない
私たちがまだ掴めていない感覚を、局長が教えてくださる。

ユニクロが欧米での売り上げ不振に、それぞれの国向けの商品を
開発する、という記事を扱ったが、
日本人が海外に打って出るときの基本的な背景が掴めていない、という
ご指摘を受けた。
日本の技術力は各国で認められているが、ファッションでは欧米の方が格上だ。
アジアの中でカリスマのような存在の日本でも、ヨーロッパに出ると
常にまだ格下のイメージが伴う。
私たちがアジア製の商品をどう思うか?という例を挙げて教えてくださった。
他にも、新聞記事の赤字・黒字には振り回されない、まだまだ人間社会には
サラブレッドの人や根回しが大きな役割を果たしている、などの話をしてくださった。

本などで学ぶことも大事だが、このような感覚を教えていただけることは本当にありがたい。
これからも貪欲に身につけていく。

●現代人の人生と矛盾
「近代以降、私たちは大きな矛盾を選択しなくてはならなくなった。
選択は苦痛を伴う」という。
濱口晴彦先生に、公・私・社会という三つの構図となった近代以降の、
それゆえ生まれた矛盾について講義していただいた。

近代以前、社会というものはなく、公と私のみという構造だった。
先生のおっしゃる社会というのは、公と完全に切り離された、
いわゆる自由な社会という意味だ。

私たちの生活の根幹となっているのは「働く」ということであるが、
かつては「働く」ことは「使命(calling)」だった。
何か行動することは、必要不可欠な行動である「work」と、
そうではない「labor」の二種類があり、近代になって

社会が形成されたことで、「calling」だった「働く」ことが
「labor」になってきたという。
それが近代の不幸だと先生はおっしゃっていた。

社会が形成されるまでの近代の以前の人々にとって「働く」ということが
どういうことか、考えたことはなかった。
自由な社会となった幸福の裏には、laborと対峙しなければならなく
なった不幸が潜んでいた。
今、「働く」を直前に控えている私たちが心得ておくことは大切だと感じた。

また、「社会」とは人々がテーブルを挟んで向かい合っている状態の
ことだ、というお話があった。
私は松下村塾の講義風景を思い浮かべた。
議論するために向かい合っている配置。
それは現代社会の縮図だったのではないだろうか。

先生は、創造的に生きていると矛盾に直面せざるを得ないとおっしゃっていた。
人間しか、人生について考えることはしないという。
現代の人生と向き合う上で矛盾は不可避だ。

改めて、現代社会、矛盾、人生について考えていきたいと思った。
私にとってのworkで追求していく。

From:佐藤洋一@東京校5期生(神奈川県出身・玉川大学卒)
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●感覚を掴めていない…ブランドイメージは先行する
ユニクロが欧米に出店し殴り込みに出るという記事を議論したが、
日本人にも、今だにアジアを下に見ている所があるのは事実。
アジアと提携よりヨーロッパと提携の方がよく聞こえるし、
パソコンはアジア製品よりヨーロッパ製品の方が価値を感じてしまう。
「だから、ユニクロが欧米へ行ったとき、未だに日本のファッションは下に
見られてるんだ」と言われたとき、そんな事は全く想像が付かなかった
自分が恥ずかしかった。ユニクロさんだから何とかなるのではないか?という考えでいた。
全て、歴史だ。
そこから作られたイメージだ。
歴史の勉強とか、そこから来る各国の日本への見方をもっと勉強しなければならない。

●選挙は利権争いである。
若者には政治教育をあえてさせない。
既得権益に気付く若者を増やさないため、というお話は衝撃だった。

●民間企業は政治へ強い影響力を持つ
間違いなく、国における民間会社の持つ役割は大きいと私も言われて感じる。
「松下幸之助が政治家をやると言ったら、皆、投票するでしょ?」と
例え話をして下さった。確かに私も信頼して投票するだろう。
人間のイメージなのだが、経済界でうまくやった人間は、国の運営も
同じように上手くしてくれるだろう、と人々は考える。
それだけ経済の力は、政治に影響を及ぼせる位、大きくなった。

●人生はコントロールしてゆくもの
人生の矛盾を、アウフヘーベン(日本語:止揚)してゆく事について講義頂いた。
"矛盾の止揚"とは議論の仕方で、2つの矛盾した主張があったら、
議論を通じると全体像が見えてきて、食い違う2つの主張を合わせた
1つの事実が結論として出てくる事を言うそうだ。
人は生きていく限り様々な矛盾に会い、うまく問題解決して乗り越える。
私の解釈が入るかもしれないが、
1例として仕事をしたい、でも遊びたいという2つの矛盾する欲求があったときに、
どちらか1つを犠牲にせずに、2つをうまく実行する1つの答えを出して
生活を組み立てるとかが、矛盾の止揚ではなかろうか。妥協ではなく、
矛盾を止揚する人生を歩む様心掛けてゆきたい。

●正義と社会
濱口先生は「正義が行われづらい社会になった」と言われる。
近代は、人として正しい仕事を行なおうとすると、そちらより
社会に受け入れられる、つまり富を生む仕事が優先される。

仕事は元々喜びだったのだが、会社が出てきた事によって、
仕事はlabor(=苦痛を伴う労働)とwork(仕事)、あとaction(活動)の3つに
分かれたという(ハンナ・アーレント、ドイツの思想家)。これは
「活動的生活」という言葉に関する定義だそうだ。
"儲けを考えない、だが必要だと、自分の考えを持って
動いた仕事(根底に「義」あり)"を、例えばworkというそうだ。

古代ローマ時代などの、社会の成り立ちについても教えて頂けた。
「公」と「私」の2つの矛盾があったとき、かつて近代化する
前の時代はこうだ。仕事は、lavor(労働)とwork(仕事)に分かれていた。
私を家と考えると、富を作るのは労働者の役割。そして家主のみが
富を使い、公の代表として出ていける。つまり公に関われるのは
ごく一部の人間で、一部の権力者のみが作る国だ。

かつて古代は、その様な公の為に動けるのは金を持っている人
だけだった。だが今は違う。
また現代の私達は「lavorよりworkの割合を増やさなければならない」と
濱口先生はおっしゃっている。
公的な力もかつてより弱まり、働く幅も大分広がってきた。
利を得る事柄もして、そして公の為に自分の考え動く「仕事」を
どう増やすかという矛盾の止揚を行ない、自由な発想で
義士の様に義を行なえる人間を目指していく。

From:小林諒也@東京校4期生・実行生(北海道出身・公立はこだて未来大学院卒)
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